チャーガ抽出物に含まれる成分に、抗ウイルス作用

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ロシアのノヴォシビルスク市に所在する、国立ウイルス学・生物工学研究センター「VECTOR」の専門家らは、抗ウイルス作用がある天然物質に関する日夜研究に励んでいます。

2003年に、SARS(severe acute respiratory syndrome)の呼称で報告されたウイルスは急性呼吸器症候群を起こしている。そして、類似ウィルスは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因となることが明らかになっています。
新型コロナウイルスは、世界中で今なお感染が拡大し、各国がその治療薬となる抗ウイルス薬やワクチンの開発を進めていますが、現時点で、実用化出来る特効薬は存在していません。

ロシアの新型コロナウィルス「EpiVacCorona」というワクチンを作った「VECTOR」センターは、2020年3月より、SARS-CoV-2に対抗し得る天然物質の存在の有無について、研究を開始しました。

研究所長で有名な菌学者のタマラ・テプリヤコバ教授は、ロシアの、図解された学際的なサイエンスジャーナル誌「SCIENCE First Hand」の編集スタッフに、「チャーガ」の水性抽出物が細胞培養で新型コロナウイルスの病原体の繁殖を抑制する実験的研究が成功したことについて語りました。

 チャーガの多くは白樺の幹に自生しており、森の中で見つけることが出来ます。
ひびの入った黒茶色の表面の下に、菌類のクラスターがあります。
ロシアでは、約1000年も前から、薬効として利用されていました。
様々な疾病予防と治療として、チャーガをお茶にして摂取していました。
前世紀の半ばから行われてきた科学的研究の結果により、自然医学としてチャーガの有効性を確認しています。

2008年以来、「VECTOR」センターの専門家は、500以上のシベリアのキノコ種類を対象に、細胞培養による抗ウイルス活性を多くの病原性ウイルスにおいて研究してきました。この研究により、有効性が一番高いと認められたのが、チャーガでした。チャーガから抽出された水抽出物とメラニン色素は、ウイルスを抑制することが確認出来ています。

チャーガによる効果は、白樺とキノコの密接な相互作用によって形成され、非常に広範囲の生物学的な活性成分によって説明することが出来ます。それらの中には、高分子水溶性メラニン(最大30%)が含まれ、これが抗腫瘍活性を持つ発色性ポリフェノールオキシカルボン酸複合体を形成します。他に、細胞静止作用のあるプテリン、イノトジオールを含む、抗芽球活性を示すステロイド物質、多糖類、有機酸、遊離フェノール、フラボノイドなども含有。チャーガには、酵素活性剤として機能するマンガンを中心に、多くの微量元素が含まれています。

ロシア連邦の州薬局では、チャーガの天然原料を手に入れられます。薬局では、砕いたキノコ(直径7mmの穴のふるいを通過するものに限る)と微粉末(フィルターバッグに封入)の両方を見つけることが可能です。チャーガは無毒で、1日あたり150~200mlの濃縮物の摂取が可能です。また、1日を通して、均等に摂取することが可能です(例えば、15~20分毎に、水と一緒に飲めます)。

残念ながら、ロシアで採れる天然チャーガは、急速に減少してきています。チャーガは、多くの商業組織が大規模収穫し、現地の薬局に卸し、また、輸出のために供給されています。そういった背景から、昨今では、森の奥深くでの収穫を余儀なくされています。さらに、キノコの摘み取りは、原則として、産業排出物または放射性汚染にさらされている地域ではない場所で、実行しなければなりません。

今後もチャーガを取り巻く環境は変化していく可能性がありますが、古くから大事にされてきたチャーガと健康、医学に関する研究の進歩に大いに期待したいですね。